2020年8月26日水曜日

時代の荒波〜護岸工事とミサイル基地 その2

 

波の巨大なパワーと対峙するサーファーたち
外洋から押し寄せる荒波にも立ち向
かう
風吹く砂浜で自然の造形に観入る。
「波」美しく「岩」力強きかな、嘉徳の浜、
流木を組み、雨傘で潮風をさえぎり、
わずかな晴れ間にスケッチを描く


 嘉徳海岸の砂浜で日暮れまでの3時間のわずかな晴れ間に、メモ
描き2枚勝負の野外スケッチには広々としたタープを張る時間はな
く、車内に残されていた母の遺品の雨傘と、細びき数本をポケット
に忍ばせ、両手に画材道具とバッグを持ち、スケッチ・ポイントま
での砂浜を横切る途中で流木を拾い集め、インスタントなパラダイ
ス・アトリエを設営する。


 潮風吹く浜辺で岩場をスケッチしながら、岸辺手前の波立ち崩れ
る美しい白波を眺めていた。その波の沖合ではサバニ・チーム「風」
のクルー仲間と数人のサーファーたちが風波のなかサーフィンを楽
しんでいる。その清らかさとは裏腹に、反面教師として時の国家権
力の利権に群がる人間社会の薄汚さが、うごめく魑魅魍魎(ちみもう
りょう)の荒波となって透けて見えてきた。

 

 現政権および防衛省が目論む「国策」に翻弄されている嘉徳海岸
の護岸工事問題。しかし砂浜の浸食対策を口実に平成30年に計画さ
れたその護岸工事は、自然の砂浜を大切に思う反対運動の人々によ
り、かろうじて今でもナンとか守られている。工事計画から3年過
ぎた現在では大量の砂が堆積しかつての様な大きな砂丘の浜に戻り
つつあるにもかかわらず、沖合では掘削船による理不尽な砂の掘削
作業が今も繰り返されているのだ。もし嘉徳海岸の護岸工事が国と
地方行政の強権力により施行されたら、それを機に現在沖合にて行
われている海底掘削作業が加速し、美しい石庭の様な岩場とダイナ
ミックな砂漠の様な灰色の砂浜は徐々に消え去り、やがて自衛隊の
艦船が接岸できる巨大な港(軍港)が完成するだろう…と、権力側の
目論みがイメージとして浮かび上がってくる。なぜなら嘉徳集落の
ほとんどの人たちが護岸工事に対して沈黙をしているのだ。その沈
黙のおおきな理由のひとつに、2〜3年前の砂浜浸食による集落の
「墓」所を守ると言う名目・口実で計画された浸食対策・護岸工事
があげられる。網野子トンネル建設および自衛隊基地建設と同様、
権力側のあらゆる建設計画は巧妙で、かつ狡猾である。

 かつて大島の北側・竜郷町の芦徳(あしとく)海岸近くになんと20
万トンクラスのクルーズ船が停泊可能な、巨大港の建設が計画され
ていた。しかし近隣の住民たちの猛反対によりその計画は白紙撤回
された。と思ったら次ぎなる巨大港の建設計画として、大島南側の
瀬戸内町の最北西・大島海峡の入り口に位置する西古見(にしこみ)
集落の海岸沿いに、同じ20万トンクラスの停泊可能な巨大港の建設
計画が持ち上がっていたらしい。この西古見集落はたった居住者30
数人しかもほとんどが老人ばかりの限界集落で、そんな小さな集落
にクルーズ船でやってくる観光客数千人を一体どうするんだろう?
と不思議に想っていたら、その西古見での大型クルーズ船寄港誘致
計画もやはり多くの建設反対の声により、昨年2019年8月に建設
計画を撤回するハメになったのだった。この一連の巨大港の建設ド
タバタ騒動を望観するに、この2例の巨大港の建設計画は外堀を埋
めるための予行演習的計画であって、巨大港建設計画の本丸はハナ
から嘉徳海岸だと推測される。つまり芦徳海岸と西古見集落海岸の
クルーズ船停泊港の建設計画は反対され計画中止することは計算済
みのカモフラージュ的行動だったのだ。なぜなら嘉徳海岸の湾入り
口の沖合での掘削船による海底を深めるための掘削作業は2~3年
前から繰り返されており、その掘削作業の結果として2~3年前か
ら嘉徳海岸の砂が浸食されていたのである。その砂の浸食が嘉徳集
落の「墓」所を守ると言う名目口実につながり、護岸工事へと計画
が着々と進められやがて自衛隊の艦船20万トンクラスの大型輸送船
が接岸できる巨大な港(軍港)建設が完成させるのだろう…。

 グーグルマップの航空写真地図を観ても解るとうり、嘉徳海岸と
網野子峠に点在する自衛隊施設およびミサイルや弾薬格納庫施設は
たった3kmの最短一本道で繋がり、危険なミサイルや武器弾薬およ
び軍用車両等の陸路運送の際、一般市民の住む町を通過することや
自衛隊誘致反対運動に合うことも無く自衛隊施設に直接搬入できる
のである。〜この推測がただの思い違いであればいいのだが、嘉徳
集落および海岸砂浜の「すぐそこにある未来」が心配でならない。
 

 サーファーであるチーム「風」のクルー仲間も、広大な環境破壊
を伴う基地建設を憂い、集落でひとり、浜の護岸建設に異を唱え、
押し寄せる巨大な荒波に多くの仲間たちと共に、今もなお対峙して
いるのだった。

 


この国家権力および魑魅魍魎(ちみもうりょう)たる人々による行い
に疑問を持つ、心ある方々、軍事ジャーナリスト小西 誠(こにし
まこと)氏の以下のブログ参照されたし。

今、自衛隊の在り方を問う!〜軍事ジャーナリスト小西 誠
https://blog.goo.ne.jp/shakai0427/e/805cad8efc3a80de6b25e63cee77c80d








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