2019年9月18日水曜日

初秋の記憶

 駒ヶ根の夏、そして初秋 

  かつて長野県の駒ケ根でアート・ディレクターとして勤めていた頃、お昼休み昼飯後の30分ばかり、気分転換に路傍の花々や草木などをよくスケッチしていた。
  過ぎ行く夏を惜しむように咲く名も知らぬ野草たち、やがて訪れる冬に向けての、初秋に染まる紅葉の彩りの数々…。 
 この季節の錦織りなすこの山里・駒ヶ根の色彩変化は、南国生まれのスケッチ画家にとっては、出会う花々や色づく木の葉の美しさに、感動する喜びに満ちあふれる日々の連続だった。


 ひとつのスケッチにたった30〜45分、小一時間程度の即興メモだったが、残されたスケッチを改めて見返すと、その時のヒンヤリとした空気感や沢音、時おり吹く風にそよぐ枯れ葉のカサカサと重なる葉音さえもが、瞬時に記憶の表によみがえるのだった。

美しきかな 駒ヶ根・路傍の秋