2013年10月9日水曜日

シンプル・ソロ・タープ


60/40混紡 
亀吉オリジナル・ハンドメイド・タープ
 シーカヤックおよびフィールドでの、ソロ・キャンプのビバークは、突き刺した1本の棒に細引きでテンションをかけ、4角を固定して小さなタープを張る。
その下に大きめのタープを三つ折りにして、グランドシート代わりに敷きつめ、その上にコットンシーツを敷いて寝床とする。


風が無い浜辺や薮の近くでは蚊の襲撃に備え、コクーンのモスキートネットを吊り下げ、頭の上部にたたんでぶら下げておく。
蚊の襲来にはもちろんモスキートネットをサッと広げ、突然の雨には下に敷いて折り畳んであるタープを1/3引き出し、それをサッと被り雨をしのぐ。



ま、雨が降らなきゃラッキーであるが、所詮、濡れる覚悟で外で寝ているのであるからして多少は濡れても、ど~ってこと無い。
濡れることよりも、満天の星空を眺めながらそのまま気を失うことの方が、はるかに楽しく心地よいのだから。
タープを通してパタパタと雨にたたかれる感じ、これがまた楽しかったりするのだ。






2013年10月4日金曜日

安達太良山の初秋

ナナカマド

久しぶりに東北の山を散歩した。

高村光太郎の短編集「智恵子抄〜あどけない話」に
智恵子は東京に空が無いといふ。 
わたしも そう想う。


智恵子抄〜あどけない話

智恵子は東京に空が無いといふ。

ほんとの空が見たいといふ。

私は驚いて空を見る。

桜若葉の間(あいだ)に在るのは、
切っても切れない

むかしなじみのきれいな空だ。

どんよりけむる地平のぼかしは

うすもも色の朝のしめりだ。

智恵子は遠くを見ながら言ふ。

阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出ている青い空が

智恵子のほんとうの空だといふ。

あどけない空の話である。


で、記されている「ほんとうの空」を見ようと、
安達太良山(あだたらやま)に登った。

まだ9月下旬だというのに標高1500〜1700mにかけて、
小さな秋がはじまっていた。


秋の入口とはいえ、植物たちの鮮やかな色彩についつい足を止めてしまう。まぶたに焼き付いたナナカマドの赤い実の美しさを、記憶の褪(さ)めぬうちにと、たどり着いた山小屋にてコンパクト・カメラのモニター・メモを眺めながら、残像の断片をたどりつつスケッチをとる。

ナナカマドの実は果実酒に利用でき、疲労回復、強精、強壮、利尿作用の効果があるという。
なんと、その樹木は炭としての極上品・備長炭の材料として古くから慎重され、火持の良い強い火力は、七度、竃(かまど)に入れても燃え尽きないことから、ナナカマドと呼ばれているのだった。

(つづく)