旧暦・元旦の2月10日、箱根神社・初詣の、お楽しみのひとつ「おみくじ」。今年の運勢は[中吉]だった。なんと、おみくじの中に金色に輝く[打ち出の小槌(こづち)]が入っていた。裏表に開運と招福が記されている、メチャ小さな小槌である。
こいつは春から縁起がいい!と喜び、説明書きに「振れば財宝が出てくる」と書いてあるので、思いきり振ってみたが、ナンも出てこなかった。後記「開運」に期待して、御告げのとおり財布に入れることにした。
ああ神様、どうかひとつ よろしくお願い致します。
かしこみ かしこみ
二礼 二拍、
〜心願成就、航海安全、開運招福、家内安全、天下泰平、原発廃炉、山本太郎当選確実〜
一礼。
諸々の事 くれぐれも よろしくお願い申し上げます。
単独でシーカヤック、もしくはサバニ旅で大海原に漕ぎ出るとき、常に胸元に下げているモノがある。ナイフとハマシタンの小枝とホイッスル、そしてヤコウガイのお守りの4品。
ナイフはGERBER・ガーバー LST/Blackのホールディング・ナイフ。440Cステンレス鋼に、グリップ部分はマイカルタ素材の優れモノ。モノマガジンの創刊時1982年からのおつきあいなので、かれこれ30年共に旅をしている。
ステンレス鋼の刃は塩水に錆びず、440C鋼材のため堅く、結構乱暴に扱かっていても刃こぼれがいっさい無い。もちろん旅の終りには、真水で塩を洗い流し天日で乾かし、CRC556のひと吹きを怠らない。
荒れた海でのシーカヤック沈脱リカバリー(再乗船)の際、舟底をくぐったパドル・リーシュ(船体とパドルをむすぶロープ)コードを切断するときや、セーリング機能に組み上げたロープの類いを緊急時に切断解除するために備えている。
荒れたリーフ内で、ひとりカヤック沈脱リカバリー・トレーニングしたとき、舟底をくぐって反対側に浮き出たパドルを反対側へ戻そうとしても返せず、ましてやセンターのストッパーを解除してコードを抜き取り再度パドルを繋ぐなど、荒波の中でそんな悠長なことはやってられないのである。
実際の荒れた海でのリカバリーはこうだ。
沈して反転したカヤックからスプレースカートをはずしコクピットを抜け出し、スターン(後方)に回り込んで荷物満載のカヤックを起こしカヤック後部を抱え込む。下半身平泳ぎの要領で波の来る方へカヤックの舳先をむけ、第一波をかわしたらすかさずカヤック後部にへばりつくように両手で自分の身体を船体に引き上げ、後部をまたぐようにしてカヤックと身体を密着させ安定させる。
視線は常に前方の波を見ながら寄せ来る第2波3波をやりすごす。後部にへばりつくとバウ(船首)が上がり、寄せ来る波頭を切り裂き横波を食らわないで再度転覆することがない。へばりついた状態で徐々に体をコクピットへと移動させ、パドルを手にとりコードが回り込んでいないか確認して、次ぎなる波のウネリをやりすごし、すかさずコクピット内へケツを落とし込む。両足を外に出したまま、パドルで常に波の来る方へとパドリングで舳先の向きをコントロールする。この時のパドルはフェザーリングよりもアンフェザーのフラットな左右同一の角度が寄せ来る波に対して対応しやすい。なぜなら片手で漕ぎながら、片手でシーソックスやビルジポンプを取り出したりと、色々なことをする作業は、クイックリーに左右の手でパドルを漕ぎながら持ち替えなければならないことになるからだ。
荒れた海では、パドルフロート使用の再乗船や船体横からのリカバリーなどかなり困難を要すると想う。横波を食らうとアッという間にまた転覆するし、足元がおぼつかない洋上において2〜3回のリカバリーで復起乗船できないと、体力的にも精神的にもかなり消耗してしまうのだから。
また、空荷で、しかもスペーサーを差し込んでガチガチフィット状態でやるエスキモーロールは、荷物満載の旅カヤックにおいては何の役にも立たない。ましてやホールディング・カヤックのガンネル両サイドにはエアー・スポンソン(空気チューブ)が設置されているためロールさせるのは至難の技である。
それでもエスキモーロールが得意だという人は20〜30kgのキャンプ道具と飲み水を満載した状態で、しかもユルユルなフィット感のまったく無いコクピットおさまり状態でロール・リカバリーの経験をしておくことだ、しかも4〜5秒ごとに波頭崩れる大波のウネリのただ中を想定して。
ハマシタン(浜紫檀)の小枝は、先端を少しとがらせてロープや細引きのかたく締まった結び目を解除するための挿物として、キャンプ暮らしのあらゆるシーンで活躍する。時に小さな「孫の手」となり、背中のど真ん中をカイカイしてくれる。
ブラス製のヨット用デッキコール・ホイッスルは、形と真鍮の素材の美しさからついつい手に入れたモノだが、海の上で鳴らしたことは一度も無い。おもいきり吹くとカン高い「ピィ〜ッ」と鋭い音がするので、時々、首相官邸前の反原発デモのなかでピッピ・ピッピ・ピィ〜〜ッと雄叫びをあげている。
そして、お守りとしてのヤコウガイ(夜光貝)のアクセサリー。これが1個加わるだけで、ナイフの物々しさが半減し、このセット全体が、アクセサリーにと変身する。と本人は想っている。もちろん、航海安全、心願成就、家内安全、開運招福、白發中、大三元は九連宝燈、四暗刻ツモの、お祈りも込められている。
みなさま 新年あけまして おめでとう ございます。
西洋かぶれのユリウス暦の本日 2月10日は 倭国(日本)本来の旧暦 1月1日 元旦 です。
今日はお月様も新たな 新月となり この良き日が本当の お正月で ございます。
我が伊東家は 本日、早朝より中央高速道路をかっ飛ばし、富士山を拝山し その足で箱根神社へと初詣を兼ねて、心願成就と航海安全、家内安全、開運招福、天下泰平、白發中、大三元は九連宝燈に四暗刻ツモのもろもろを、ご祈願しまくってくるのです。
そうそう、カヤッカーの皆々様、お月様は大切です。旧暦をお忘れなく。新月・満月~潮の満干の調べ、千里よせくる潮騒を 夢枕に聞く我らシーカヤッカーの 大切な道標(みちしるべ)のひとつなのです。
さてさて話は変わりますが、わたくし亀吉は、昨年、カヤック・ニンバス「ニアック」にセーリン機能を組み上げリーボードを装着して、無人島から3km先対岸の港へと、わずか10分チョイで帰航したことがあるのでした。
島へ向かう時はド向かい風6~7mをガッチリ漕いでで40分もかかったのに、帰路のセーリングは右舷後方45度の4~5mの風をパンパンに帆に受け、効果抜群リーボードのおかげで海水をキャッチし横流れを抑え、目指す右舷45度前方の港へとアッという間に、まったくもって一漕ぎ無しに戻ったのでござんす。
はてさて、今月後半には新艇ヘロン「白鷺号」による、無人島からのセーリング脱出作戦を決行する所存。
今回のチャレンジは、無人島で手に入る材料でいかにイラストのようなアウトリガーを組み上げるかである。とりあえずマスト用の竹ざお1本と、前回組み上げたリーボードは流用するとして、持ち込む道具は、鉈と小さなノコギリ、それと細引き数本をご用意。それと水と少しの食料3日分。帆はいつもキャンプに使っているパレオ一枚を工夫し、足りないロープ細引きは、浜に流れ着いた漁具のロープ類を活用する予定。
無事組み上がり、成功のあかつきには、沖縄本島東海岸沿いの洋上を、我がもの顔で飛び回っている鬼畜米国・オスプレイめがけ、島でこしらえた弓矢(希望・推定飛距離250m)にて一矢を報いて、風をつかまえ一気に~矢のように~ピューッと無人島を離脱する図事(はかりごと)にてござ候
今年は、やりまっせェ~! いざ 勝負!
先月1月24日 進水式を行った。
心静かに 時間をかけ ひとつひとつを確認しながら、新艇ホールディング・カヤック「ヘロン」を約1時間15分かけて組み上げた。
「ヘロン」は鷺(さぎ)を意味し、ボディカラーが白ということで「白鷺」ということになる。
白い鳥は、神々の使いとして古代から日本各地の神社などで数多く祀られている鳥である。
ちなみに奄美地方では、白い鳥は「ウナリ神」信仰の象徴で、海上における白い鳥は海を航る男たちにとっての心の寄りどころとしての、祈りの存在なのである。
そのことは奄美の民謡「よいすら節」に唄い伝えられている。
舟の 高トモに よいすら
白鳥ぬ いちゅり すらよい すらよい
白鳥ぬ あらぬ よいすら
ウナリ神ぬ 加奈しゃ すらよい すらよい
(大意)
舟の船首の高いところに白い鳥が止まっています。
いいえ あれは 白い鳥ではありません。
尊く愛おしい ウナリ神が 化神となって わたしたちを見守っているのです。
(ウナリ神とは 女性たちの「祈り」の化神のことで、女性たちの先祖代々から脈々と祈り伝わる、船出した男たちへの「航海の安全」への想いが「白い鳥」となってその舟漕ぐ姿を、共に高い空から見守っている、という女性を神として尊ぶ、祈り信仰の具現化したものなのである。)
よく晴れた昼の12時すぎ、1月だというのに陽射しが強く、短パン・アロハに島ゾーリの出で立ちで、組み上げた新艇「白鷺号」を担ぎ上げ、波打ち際の砂上へと運んだ。
海に向かって、一文字に舟を置き、舟横手前に、
無人島で拾った美しい青いビンに、生まれ故郷・奄美/西阿室の川水を満たし、普天間宮の天照大神に航海安全を祈願したお札と、琉球國の波の上宮神社に御詣りしたお守り札を捧げ、奄美の黒糖焼酎「浜千鳥の詩」と琉球泡盛「久米島の久米仙」、お米と塩、お餅、そして、結界としてのシメ縄などの供物をそなえた。
酒と塩で 己の身と心を清め 素足となり座を正して 海と空と大地の神々に、これまでの過去と現在、そして これからの未来に向け、いくつかの反省と決意と希望の祈りを願い、それぞれの神々へ三たび頭を垂れ 祈りを捧げた。
酒と塩と米を手に取り、海と空と大地の神々に捧げた後、新艇「白鷺号」にも酒と塩と米を捧げ、奄美の水を わたしと「白鷺号」で分け合い、のどを潤し「白鷺号」の船体の塩を洗い流す。
ささやかな進水式のあと、舟を浮かべ みなぎる喜びを噛みしめるように、右側のパドルから静かに漕ぎ出した。
ひと漕ぎひと漕ぎのパドル・キャッチが確実に推力となっておどろくほど速く、空荷の「白鷺号」は音もなく滑るように海面を走る。アッという間に岬の先まで漕ぎ出たら、思いのほか左側からの北風が強く、短パン・アロハ半袖ではさすがに寒く「今日はこれぐらいで許してやる」と、そそくさと岸辺へと戻ったのである。
これからの いくつかの旅を想うと 心ときめき 胸奥に明るい太陽がひかり輝く気分である。
いいぞ~ この感じ。 ガンガンいくぞ~ 白鷺に乗って!
*グランストッリーム・大瀬さん、そしてミスター・ダグ に 心からの感謝!