2013年2月4日月曜日

神々への祈り


先月1月24日 進水式を行った。 
心静かに 時間をかけ ひとつひとつを確認しながら、新艇ホールディング・カヤック「ヘロン」を約1時間15分かけて組み上げた。 
「ヘロン」は鷺(さぎ)を意味し、ボディカラーが白ということで「白鷺」ということになる。
白い鳥は、神々の使いとして古代から日本各地の神社などで数多く祀られている鳥である。 
ちなみに奄美地方では、白い鳥は「ウナリ神」信仰の象徴で、海上における白い鳥は海を航る男たちにとっての心の寄りどころとしての、祈りの存在なのである。
そのことは奄美の民謡「よいすら節」に唄い伝えられている。 
舟の 高トモに よいすら
白鳥ぬ いちゅり すらよい すらよい
白鳥ぬ あらぬ よいすら
ウナリ神ぬ 加奈しゃ すらよい すらよい
(大意)
舟の船首の高いところに白い鳥が止まっています。
いいえ あれは 白い鳥ではありません。
尊く愛おしい ウナリ神が 化神となって わたしたちを見守っているのです。
ウナリ神とは 女性たちの「祈り」の化神のことで、女性たちの先祖代々から脈々と祈り伝わる、船出した男たちへの「航海の安全」への想いが「白い鳥」となってその舟漕ぐ姿を、共に高い空から見守っている、という女性を神として尊ぶ、祈り信仰の具現化したものなのである。) 

よく晴れた昼の12時すぎ、1月だというのに陽射しが強く、短パン・アロハに島ゾーリの出で立ちで、組み上げた新艇「白鷺号」を担ぎ上げ、波打ち際の砂上へと運んだ。


海に向かって、一文字に舟を置き、舟横手前に、
無人島で拾った美しい青いビンに、生まれ故郷・奄美/西阿室の川水を満たし、普天間宮の天照大神に航海安全を祈願したお札と、琉球國の波の上宮神社に御詣りしたお守り札を捧げ、奄美の黒糖焼酎「浜千鳥の詩」と琉球泡盛「久米島の久米仙」、お米と塩、お餅、そして、結界としてのシメ縄などの供物をそなえた。

酒と塩で 己の身と心を清め 素足となり座を正して 海と空と大地の神々に、これまでの過去と現在、そして これからの未来に向け、いくつかの反省と決意と希望の祈りを願い、それぞれの神々へ三たび頭を垂れ 祈りを捧げた。


酒と塩と米を手に取り、海と空と大地の神々に捧げた後、新艇「白鷺号」にも酒と塩と米を捧げ、奄美の水を わたしと「白鷺号」で分け合い、のどを潤し「白鷺号」の船体の塩を洗い流す。
ささやかな進水式のあと、舟を浮かべ みなぎる喜びを噛みしめるように、右側のパドルから静かに漕ぎ出した。
ひと漕ぎひと漕ぎのパドル・キャッチが確実に推力となっておどろくほど速く、空荷の「白鷺号」は音もなく滑るように海面を走る。アッという間に岬の先まで漕ぎ出たら、思いのほか左側からの北風が強く、短パン・アロハ半袖ではさすがに寒く「今日はこれぐらいで許してやる」と、そそくさと岸辺へと戻ったのである。



これからの いくつかの旅を想うと 心ときめき 胸奥に明るい太陽がひかり輝く気分である。
いいぞ~ この感じ。 ガンガンいくぞ~ 白鷺に乗って!

*グランストッリーム・大瀬さん、そしてミスター・ダグ に 心からの感謝!









2 件のコメント:

  1. ナイナイチー2013年2月5日 20:03

    おめでとうございます!
    よき標たる舟であらんことを!

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  2. ♪〜我は 海の子 白浪の さわぐ磯辺の 砂浜に
    煙たなびく タープこそ 我が 愛(いと)おしき 住処(すみか)なれ〜♪
    (極意)
    風ふく中 焚き火を前に 
    こころ制すれば 身もまた 静か
    精神 穏やかなれば 浪 また静か 也
    〜良き旅を!

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