9〜10年前、南信・駒ヶ根の冬のこと。
大田切川に流れ込む小さな沢を、初雪積もる河原の冬景色を眺めつつ、休憩時の喉の乾き用にと、故郷・奄美から送られてきたタンカンをひとつコートのポケットに忍ばせ、河原に添って1時間ほど歩く。
会社勤めの昼休み時に、弁当片手によく来ていた河原にたどり着いた。
ヒヨドリのつがいや赤いほっぺのウソ、羽毛をまん丸く膨らませたシジュウガラなど多くの野鳥たちが、すっかり葉の落ちた冬の木立の梢の中を飛び交い、凛とした透き通る白い空気のなかにその鳴き声を響かせていた。
その河原を30分ばかりスケッチした後、かじかんだ手でナイフ片手にタンカンを真横に切り、半分を小枝に刺し鳥たちに分けた。
さらに上流へと散歩したあとの帰り道、刺したタンカンを覗いてみれば、ものの見事に中身がキレイに食べ尽くされている。
うれしくなり、また30分かけて、その小枝をスケッチするのだった。
おぉ〜寒ッ!
けど、なぜだか こころは暖かった、初雪降る 駒ヶ根の想い出。
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