YADOKARI HOUSE vol.1
潮風そよぐ 琉球国
首里・那覇の大道(*1)だいどう・の一角
朝昼 夕に 虹色の光に輝く 小部屋がある。
太陽昇る朝6時から、夕陽の沈む午後7時の約13時間のあいだ、部屋中が、数百の小さな虹色の光に満たされる。
七色に輝く光の中で、
仕事のアイデアを考え、スケッチ・メモと 汗をかき、氷のたっぷり入った少し甘い飲み物と、熱く渋い日本茶を交互に、時を過ごす。
西日さす夕陽の中、
暮れなずむ部屋に差し込む、数百の虹色の光は 時に、
家族を 友を 己を そして旅としての、
過去を思い 今を考え 未来を想わせる。
陽の落ちた 夜の訪れに、
幾つかの小さな明りを灯す。
大好きな音楽を、ランダム(*2)に流して 時に、
ギターを つま弾き 好きな詩(うた)を歌い、
冷たい飲み物(*3)と、熱い日本茶を交互に、
すきなタバコに火をつけ、一服して、
夜の闇と 小さな灯り そして
音楽(*4)を楽しむ。
時あらば、気の合う友と集い ささやかな食と酒を、
語らいの中で、こころから 楽しみ、
深夜まで 幸せに満ちた良き時を 過ごす。
ヤドカリ・ハウスの
そんな「光」と「時」の流れが
好きだ。
*1〜琉球語〜ぅふどぅ:ぅふ(大)どぅ(道)の意を表し 道 の発音は英語の Do に類似する。
琉球王朝の時代、泊(とまり)港と三重城(みえぐすく)から王府・首里城に向かう二道が交差する安里(あさと)から、首里坂道の始まる松川までの500〜600mの区間は、王朝当時・琉球一の大通りを施し、その両脇は物資流通の中心地となる、あらゆる交易・商いの一大商業中心地だった。
*2〜ipodのシャッフル機能は、次ぎにかかる曲の意外性がおもしろい。
*3〜琉球の暑い夜は、ロックなラム酒や、355ml・1本40円(特売)のチェリー・コークにラム酒を加えた、氷たっぷりの「チェリコ・ハイ」がうまい。
*4〜夜の訪れと共に、ジム・ホールのささやく様なギターの音色を中心に、ローランド・ハナのピアノ、ロン・カーターのウッドベース、チェット・ベーカーのトランペットにポール・デスモンドのアルトサックス、そして、若きスティーブ・ガッドの控えめなドラミングの、1975年4月の奇跡[Concierto]Aranjues/アランフェスの見事なジャズ・アンサンブル。そして、カミさんの大好きな、1961年6月ビル・エバンス奏でる[My Foolish Heart]の繊細かつテクニカルな透明感のあるピアノの音色を、両切り・キャメルの煙とローソクの灯りの中で聞くことの しあわせ。