マッチ1本で焚き火を熾す?
寒い季節、風の中での焚き火着火は苦労して当たり前。
昔は風に強いジッポーのライターをよく使っていたが、そのステンレス本体の重さ、オイルやフリント切れ、それに対してのオイル缶やフリント・ホルダーなど補充と常備携帯のめんどくささに、ジッポーはオイル缶と共にいつしか道具入れの奥の片隅にしまい込まれた。
気がつけば、ガスやオイル系の調理ストーブをはじめ同燃料系の照明道具全てが、野宿の経験を重ねるごとに無人島やソロ・キャンプのシーンからその姿が消えていったのだった。
その大きな要因のひとつに、飛行機移動のときに毎回行われる荷物検査がある。ライターひとつを目くじら立てて探しまわっている保安員のバカさ加減に毎回うんざりしていた。タバコ用ライター1~2本でどうやってハイジャックするというのだ!
ましてやガスやオイル系の調理ストーブ&燃料系と照明道具全てが、カウンターでの機内荷物預けや手荷物持ち込み禁止なのである。
そんなこんなで結局、機内に持ち込めないガスやオイル系のキャンプ道具は、必然的に道具の棚に置き去りにされるようになった。ま、基本的にガスやオイル系のキャンプ道具は、もともとあんまり好きではないけれど。
ところが、風の中での焚き火着火は、チョーめんどくさい!
無人島で乾いた流木集め、焚き火床セットアップしていざ着火。しかしマッチ何本擦っても風の神様に吹き消され、2本、3本、4本マッチ束ねても3秒ともたない。
着火材あれば簡単だけど、そんなの無くても工夫次第で何とかするのが無人島のソロ・キャンプ。アダンの枯れ葉が燃えやすいのは良く知られているが、風吹く中での着火は容易ではない。
ではどうするか……、まず枯れ葉を2〜3枚重ね、10cm幅に切った麻ヒモ4〜5本をバラバラにほぐして手のひらでこねくり回し、小鳥の巣の大きさにした麻ヒモのボールを枯れ葉に乗せる。その上に乾いた小枝もしくはカラカラに乾いた杉板をナイフで削り、その切れ端を麻ヒモのボールに重ね軽く押しつぶす。その上にローソクを削って小枝の上にかける。その上に枯れ葉を1〜2枚被せて風に飛ばされないように組み上げた薪の下に置く。
マッチ4〜5本束ねて擦ると同時に麻ひもの中でマッチの赤い火薬部分を燃焼させる。麻ひも〜杉板の木っ端〜ローソクと炎が伝わり、溶けたローソクが小枝に垂れてしばらくの間燃え続け、上の薪に火が着き着火完了。
それだったら、ローソクでサッサと火をつければいいじゃないかと思うだろう。それが風の中では100円ライターやマッチでは、ローソク自体に火を着けるのはスゲェ〜面倒なんだよ、風吹く中での着火はほんとうにアタマに来るぜ、マッタク!
ちなみに雨の中での焚き火着火は、上記の要領で小さな種火さえ熾せばあとは何とかなる。濡れた薪は鉈やナイフで縦に十文字に割れば、どんなに表面が濡れていても中心部分は乾いている。その乾いた部分を削り出したり、鉈で切れ目を入れて燃えやすく工夫をすればいい。
ま、風吹く無人島や土砂降りの雨の中では一本のマッチでの焚き火着火はまず無理だね。つまり条件のいい場所でのマッチ一本で焚き火を熾すことは何の自慢にもならないのさ。ましてや雨の中ではマッチの先の火薬は、湿気でボロボロなんだから。
〜アレェ〜風に強い 着火ライターのこと知らないのォ?〜って思うキミ、ここは思考の問題、頭だよア・タ・マ〜知恵の習得ってこと。ライターのガスが切れていたらどうするの…?
経験を重ね、幾多の実践の失敗から習得するのが一番だぜ、火熾しの技は。
一枚の板切れでも、知恵を使えば多機能ツールに
無人島もしくは多くのソロ・キヤンプでは、まな板用に20cm×35cm幅の杉板1枚を常に持ち歩いていた。
ある時は砂を掘るスコップとして、時にウチワとして焚き火の炎を大きくし、または風上に立てて風をさえぎり炎を抑える。
雨の日の焚き火熾しには、カラカラに乾いた杉板の端を縦に細かく削り節のようにナイフで切り出し、着火の材料として使っていた。
風吹く夜には角に開けた穴に細引きを通して砂に30cm斜めに埋め込み、板ペグとして使いタープのバタつきを抑える。
また砂を20cmほど盛り上げ、石を2個水平になるように並べて杉板を置き、上に石を置いて板を安定させ小さなテーブルとして活用。
そして、ケトル1つあれば湯を沸かし暖かい飲み物やコーンスープ、インスタントみそ汁、チキンラーメンも可能だ。 工夫次第でモチを焼き、磯辺巻き、お雑煮だって イケまっせ~。
いまでは、着火用としてタテ端を削られ、最近の自転車キャンプにあわせて軽量ザックに入れるため、お尻をチョン切られ15cm×33cmのサイズにやせ細ってしまった。今年の末までには10cm幅のタクワンお新香・カッティング専用まな板になるかな。