イシャイラズな「アロエ」
外駆けずりまわるガキの頃、ヒザやヒジをはじめ手のひらなどにスリキズやケガを負うたび、赤チンキや激痛しみこむ黄色いヨードチンキをよく塗りたぐられた。
マッチ箱をいつもポケットに忍ばせていたニンジャ小僧は、得意の火遊び「火遁の術」でよくシャツを焦がし、たまに腕や指先などをヤケドすることもあったのだ。
そんなとき、毋は庭先からアロエを切り分け、オロシガネでみどりの皮ごとスリおろしてガーゼにくるみ、患部に当ててくれるのだった。
ヤケドにはアロエが定番で、胃腸の弱い毋などは皮ごとスリおろして、小さなガラスコップに移し、それをイッキに飲み干すのであった。毎回、気合いを入れ飲むたびにおそろしくニガそーな顔をして、ビビるワタシに呪文のように「これはイシャイラズと云って、いろんな病気に良く効くのよッ!」と、話しかけるのであった。
アロエで育てられたワタシは、シーカヤックやサバニでの海旅で真っ赤に日焼けした仲間を見るにつけ、事あるごとにアロエを探しまわり、トゲ部分を取り除いて角を落とし2枚に切り分けて、中の透明なゼリー面をヌルヌル塗りたぐりながら、「これはイシャイラズと云って、いろんな病気に良く効くのよッ!」と、みんなに話しかけるのである。
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