秋のキャンプは焚き火が楽しい。
調理のカマドとして、また寒い夜風からの温もり、夜の暗闇のほのかな灯りとして、いろいろ活躍してくれる。
まず、一晩過ごす為の乾いた薪を拾い集める。
つぎに、河原から石を運び込み、図の様な 焚き火カマド を組み上げる。
カマドに合ったサイズに薪を切りそろえ、大中小に分け並べておく。
図は2〜3人のキャンプサイト用として組み上げた焚き火カマドだが、ひとり用ならもう少し小さくてもかまわない。でも基本は同じ、薪を燃やす焚(た)き火床と調理用の熾(お)き火床を分けて使うことだ。
焚き火床では基本的にお湯を沸かし、手足をかざして暖をとったり、小枝を燃やしたりと火遊びする場所。そして、焚き火床にある程度 熾き火がたまったら、図のフライパンの下に熾き火を移動させて熾き火スペースを用意する。
熾き火床では、ご飯を炊いたり蒸らしたり、シチューやカレーを煮込んだり、魚やパン、ソーセージや肉をジュージュー焼くなど、基本的に調理スペースとして使う。なぜなら、焚き火スペースでは火力が強すぎてアッという間に料理の多くが焦げ付いてしまう。厚手の鉄素材の鍋やフライパンなら均一に火力が回るが、アルミやステンレス素材の鍋やフライパンは、火の当たる部分だけがアッという間に高温になり、そこだけが焦げたり,煮えムラや片焼けの料理になってしまうのだ。
また、火のついたすぐの薪からは煤(すす)や油分を含んだ煙が出て、鍋やフライパンが真っ黒に煤けてしまう。ケトルや鍋でお湯を沸かす場合でも、火を熾してすぐに火にかけるのではなく、火が安定して煙が出なくなってから火にかけると、煤汚れも少なくキャンプ後の道具の手入れも楽になり、余計な手間が省けるというものだ。
また平らな石を火床近くに設置すると、その石自体が蓄熱し、ご飯やシチュー鍋、お湯の保温場所に使え、いつでも温かい食事をとることが出来るし、ホーローカップに注いだコーヒーは冷えること無く、焚き火が消えるまでいつまでも温かい。
熾き火床に太めの薪2本を橋渡せば、図の様なゴトクさえも必要なくなる。もちろん、鍋を吊るす鎖(くさり)やフックをはじめ、ステンレス製の組み立て式焚き火カマド、ましてや重たい鉄製の三脚さえもまったくもって、お呼びでないのである。
アウトドアの楽しみ、それは無いところから在るモノを生み出す、創意工夫の発見に出会うこと。
知ることの喜び、真実は「焚き火」にあり。