2012年6月25日月曜日

渓流にて

ひさしぶりに山奥の渓流にて、雨・風そして焚き火、夜の暗闇と遊んだ。
釣りの達人である友人は、身支度を決めるとすぐに竿をふりながら沢を遡上しはじめ、渓流の中へ忍者のように消えていった。
空を見上げると,にわかに雲がたちこめ、今にも雨が降り出しそうな気配だ。
とりあえずタープを張り突然の雨に備える。
タープを張り終えたころに、風が川上より吹き下りてきた。
夜風に備え斜めに柱をとって、風よけのタープを張る準備を施す。
雨が降る前に拾い集めておいた流木・小枝の薪をタープの下に置き直し、コットを組み立て寝床を準備したあと、火床を石で組み上げた。
友人のためにソロ・テントを組み立て、一息ついていたら、目の前の岩肌にポトポト小雨が降りて来た。
あわてて火を熾し、火床横の岩の隙間に2又の枝を突っ込み、沢水を満たした鍋とケトルを吊り下げる。火床が濡れないように、60/40の小さな雨よけタープを火床の真上にセットする。
お湯が沸き、真っ赤な熾き火で火床が落ち着いたころ、小雨のなか、友人が4匹の小ぶりのイワナを生簀に泳がせながら上流からもどってきた。

薪をくべ火に暖まり、温かいコーヒーを飲みながら、ひさびさの渓流キャンプでの再会を喜び合った。
互いの家族のこと、釣りや旅の話、出版や仕事のことから原発事故のこと、そして河川や湖、森林や海辺の営みのこと、放射能のこと、そして、これから目指す多くのやるべき事と、その可能性を話し合った。

夜の帳が降りてくるころ、簡単な食事を済ませ、その後、焚き火を眺めながら、酒や温かい飲み物を交わしつつ、過ぎ去りし思い出を笑い合った。夜の9時を過ぎた頃、ひさびさに渓流を3〜4時間遡上した疲れと酒の酔いからか、友人は早々とテントの寝床へと潜り込むのだった。

ひとり焚き火横で、夜の沢音とタープに降る雨音を聞きながら、マグライトの灯りの下、今回のフイッシング&キャンピング〜5ページのラフ・デザインとイラスト要素ラフをクロッキー・ノートにメモをはしらせる。
ときおり火床に大きめの薪をくべ足し、コーヒーを入れ、一服してまたラフに没頭する。

いつしか雨は止み、タープの向こう、暗闇のなかに沢音だけが響いていた。

大きな薪が燃え尽きる頃、時計を覗くと12時40分を過ぎていた。カップに少しの黒糖とショウガ、レモン、そしてラム酒を加え、お湯を注いだホットラムを飲み終えたあと、コットにモスキート・ネットを吊り下げ、眠気と共にシュラフの中へと潜り込んだ。

しばらくして、ポツポツとタープに小雨が落ちて来た。

暗闇に響く沢音のなか、ときおり吹く風と雨音を聞きながら、いつしか深い眠りへと落ちていった。